世界自然遺産の島、屋久島では、亜熱帯性植物の混じる海岸部から、数千年の時を生きるヤクスギの森、山頂部のヤクシマヤダケ草原まで、 1900mもの標高差に応じ、環境が大きく変化します。ヤクザル調査隊は、屋久島の多様な環境に住むニホンザルの分布を解明することを目的として、 1989年に結成されました。この調査隊では、京都大学を中心としたプロの研究者だけでなく、ボランティアの学生が主体となって、 マンパワーを武器とした調査を行ってきました。1990年代に、屋久島全域を踏査する分布調査を行い、その後、西部のヤクスギの森に長期調査地を設置し、 個体数の変動を調査しています。30年間に及ぶ調査を経て、標高によって大きく異なる環境で、ニホンザルの社会が、長期に渡ってどう変動しているのか、 世界的にも貴重なデータを蓄積してきました。現在では、サルだけでなく、サルの食べる植物、シカやヒルなど、ヤクスギ林にすむさまざまな生物を対象にした、 総合的な調査を行っています。